- Very Good Quality -
10ヴィンテージぶりのイル・ブル(当時はブランカイア)の試飲となりますが、昔の享楽系スタイルとは異なり、今の姿はイラトライアと共通の高アルコール堅牢系となっています。セパージュはサンジョヴェーゼ50%、メルロー45%、カベルネ・ソーヴィニヨン5%。熟成に使用される樽はバリックの新樽が2/3、バリックの古樽が1/3。20ヶ月間の樽熟成を経て、最低4ヶ月の瓶熟成が行われています。
基本的な指向性は、マレンマで造られるイラトライアと同種で、ブランカイアという造り手の意志が明確に表現されている傾向にあります。1997年程ではないものの、バニラ系の柔らかく心地良い風味が漂い、程よい瑞々しさと果実味が、凝縮した冷感ある固い体躯に適度な光を差し込んでくれます。
印象としては思った以上に国際品種系の表情が色濃く(ある種イラトライアとは逆)、大振りなグラスでしっかりと各要素を広げてやる方がより良い結果が得られる傾向にあります。高いアルコール感や凝縮した甘味が柔らかい物腰や果実味へと変化し、心地良い道筋へと昇華してくれるので、サンジョヴェーゼ系ワインというよりも、やはり「ブランカイアのワイン(現代的な国際市場向けワイン)」というスタンスで向かい合う方がベターだと思います。
イル・ブル、イラトライアともに、今のブランカイアを表す代表的な存在(同一スタイル)なので、どちらを選んでも相応の満足感が得られますが、相対的にイル・ブルの方が僅かにアルコールが抑えられ(14%)、サンジョヴェーゼによる酸や引き締め具合が全体のバランス向上や重量感軽減に寄与しているので、もしどちらか1本を選ぶ必要がある場合は、この本家イル・ブルの方が適しているかもしれません。
(2013/03)