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バローロの伝統となる「クリュのブレンド」を体現する造り手が「バルトロ・マスカレッロ」。バルトロ・マスカレッロのバローロは、特徴の異なる4つのクリュのブレンドで造られるのが最大の特徴で(混醸)、バローロ村の「カンヌビ」「サン・ロレンツォ」「ルーエ」、そしてラ・モッラ村の「ロッケ・デッランヌンツィアータ」という、4つのクリュの葡萄が使用されます。2010年ヴィンテージからクリュ法が執行され(バルバレスコは2007年ヴィンテージから)、今後は表記出来るクリュ名がひとつのみに限定されますが、バルトロ・マスカレッロは裏ラベルに4クリュの表記を残す方向を模索しているようです。
抜栓直後は若干還元傾向にあり、揮発系の酸や古風な樽や酸化熟成風味がバックグラウンドとして感じますが、それでも熟した果実の充実感と甘味が非常に心地良いので無理なく飲み進めることが出来ます。体躯サイズが控えめな傾向にあり、お手軽な価格帯のバローロに近いものがありますが、時間とともにじわじわと各要素が昇華していくので、まずは慌てず抜栓後1〜2時間程待ってもらいたいところです。
一見すると伝統的な造りのバローロのようではありますが、随所に現代水準の醸造が盛り込まれているような印象もあり、以前試飲した同じヴィンテージのバルベーラ・ダルバにも共通する陽的果実味のおかげで、マジョリティにもしっかり訴求する表情を擁しています。最終的にはかなりの昇華感が味わえ、果実の甘味と旨味が融合した素直な美味しさは、スタイルは違えどエリオ・アルターレのバローロにも共通する要素なので、バローロを好む人にとっては大きな満足感が得られると思います(ラ・モッラ村やバローロ村のテロワールを活かしたパワー系ではないバローロを望む人にちょうど良い)。
(2013/01)