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伝統に縛られ垢抜けない存在となっていたバローロを、短期間で一躍現代的な水準に押し上げ、まさに一時代を築いた「マルコ・デ・グラツィア」でお馴染みのバローロ・ボーイズですが、その中心にいた造り手がこの「エリオ・アルターレ」。とかく誤解されがちなバローロ・ボーイズのスタイルですが、アルターレ、スカヴィーノ、クレリコなど、理にかなった手法で造る彼らのワインは、ボーイズ云々とは関係なく高いクオリティと世界観を披露してくれます。
今回のボトルはアメリカ向けに輸出されたロットの並行輸入だと思われますが、相対的にあまり状態が良いとは言えない内容だったものの、それでも中身には大きな損害はなく、必要にして十分なクオリティと魅力が発揮されていました(まずは一安心)。2000年といえば暑かった年ですが、熟した果実の甘味や収斂し渇きのあるタンニンを内包しているものの、体躯を形作る土台はいたって素直かつ滑らかで、非常に心地良い柔らかさを持っています。このあたりは、アルターレによる造り(醸造手法)だけでなく、ラ・モッラとカスティリオーネ・ファッレットという地のネッビオーロの特徴をうまく反映しているとも言えます(スタンダードレンジのバローロは両者のブレンドで造られる)。
適度な瓶熟により、少しずつ熟成感が出始めてる状態で、若さと円熟さの中間的な世界観となっているのが印象的です(バローロとしての真の魅力はまさにこれから?)。アタックは非常に心地良い甘味による陽的要素で惹き付けられ、フィニッシュにかけてタンニンによる痺れや口中の乾き等が表出します。ボトルの状態も多少は影響しているのか、両要素間にやや距離があり、多少ちぐはぐな瞬間もありますが、時間とともに真の力と魅力がじわじわ出てくるので、ふと気がつくと細かいことを忘れその求心力に惹き付けられていきます(内包する旨味がすごい)。このあたりの潜在的ポテンシャルと、それを昇華するエネルギーの紡ぎ方はさすがだと言えそうです。
スタンダードクラスですら1万円レンジなのでおいそれとは手が出ませんが、それに値するだけの存在感なのは確かなので、アルターレを代表する2つの「アルボリーナ(バローロとランゲ)」も含めて、一度は経験してみたいバローロだと言えます。
(2013/01)