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2006年はとても良い年だと言われていますが、同時にカステッロ・ディ・アマの醸造責任者「マルコ・パッランティ」が在任25年ということで、ボトルには「Ama 25」の刻印が入り、ラベルには「25年間ありがとう」の手描き文字が、そして「シルバーキャップシール」という特別仕様のボトルになっています。
端正な身のこなしや品格の良さを兼ね備え、高品位なキャンティ・クラッシコが持つサンジョヴェーゼ特有の「張り」や「空気感」が程よく感じられる傾向にあり、慌てず無理せず自分らしいスタイルを貫いている点が思いのほか好印象となっています。抜栓日からバランスのとれた立ち振る舞いが披露され、姿勢の正しい優等生といった印象もどこか感じられますが、すぐに楽しめる現代的ワインといっても、その指向性はやはり「キャンティ・クラッシコ」といえるもので、タイトな体躯に酸を基調としたスタイルということもあり、全体との世界観としては万人受けするようなわかりやすい美味しさを持った系譜ではないかもしれません。同じ2006年であっても、レンテンナーノのような質実なコアの魅力や、ロッカ・グイッチャルダの外向的な魅力とは立ち位置からして異なる印象ではありますが、この独特の空気感を持ったキャンティ・クラッシコというのも年々減少しているように感じられるので、個人的にはかなり前向きに評価してあげたいところです。
決して愚直なまでの頑固さや骨太さを持つ懐古スタイルではないので、おそらくアマ流の良き品格というのは一般層にも十分伝わると思います。抜栓後数日経過させることで表情は解れますが、それでも姿勢の良さは一貫して崩れることが無いので、印象としては名家に仕える裏方の執事(まだ子息ぐらいの若さではあるが妙にこぢんまりと落ち着いている)といったところかもしれません。
今飲んでよし、さらに数年熟成させてもよし、場合によっては忘れ去るぐらいの長期熟成でもそれなりに興味深い人物像へと昇華してくれそうな印象もあるので、従来のアマファンに限らず試してみる価値は十分あるといえそうです(逆に言うと価格の高さが唯一のネックかも!?)。
(2010/03)