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以前のロッカ・グイッチャルダに見られた、威厳のある佇まいや硬質感ある体躯はすっかり影を潜め、2004年が持つバランスの良さや滑らかな質感など、より早くから楽しめる要素をより押し進めたスタイルへの変化が色濃く見られます。サンジョヴェーゼワインに欲しいある種の厳しさが無く、コアにまで浸透する要素としては物足りないものがありますが、それでもサンジョヴェーゼの持つ「らしさ」を程よいアクセントにし、そこに今からでも無理なく楽しめる豊満な柔らかさを付与している点は、飲み手の層を広げるという観点としては(企業経営としては)大きなメリットになるかもしれません。
旧来のような「これぞキャンティ・クラッシコ(リゼルヴァ)」といった骨太さがないので、スタイルとしては4〜5割ほどカザルフェッロをブレンドしたかのような印象だったりもしますが(IGT的スタイル?)、それでも全体象を俯瞰してみると思った以上にしっかりとした舵取りが行われているように感じられます。抜栓日は多少安易さや物足りなさが先行しますが、翌日に持ち越すと一体感アップによる明確な姿見が素直な良さとして伝わってくるので、昔のイメージを引きずるよりも今ある姿をしっかり受け止め、より建設的に評価してやる方がより多くのものを得られるのかもしれません(失うものがあれば、それに従いまた得るものもある)。
より万人受けしそうな方向性となり、さらに分かりやすく点数評価が貰えそうな明確さも持ち合わせているので、価格帯にまだ大きな変化がみられないことを考えると、以前とはまたひと味違った意味で「お買い得ワイン」と言えそうです。相対的にカザルフェッロよりもコストパフォーマンスに強みがあり、さらに同系統のスタイルとも言えるカンポ・チェーニよりも内容の充実度に分があるので、バローネ・リカーゾリを楽しむ1本としてはちょうど良い選択肢になりそうです。
(2010/03)