- Good Quality -
ラベルが一新されたカンポ・チェーニ。2006年はトスカーナ産サンジョヴェーゼを100%使用し、バリックによる6ヶ月の熟成と2ヶ月の瓶熟が行われます。
年々、そつのない安定した酒質が強調されるようになっていますが、全体的に「製品」としてのクオリティはアップしているものの、その反面、サンジョヴェーゼという品種が持つ表情やトスカーナが誇るテロワール力などに陰りが見え、本質的な良さを失っているようにも感じられます(普通に良く出来たモダンワインといった印象)。進化した醸造技術の恩恵はしっかり受けていますが、表層的な美味しさや整った体躯は得ていても、飲んでて楽しくなるような魅力に欠け、積極的に向き合いたくなるような美点も感じられません。
抜栓後3日程度で各要素の一体感が増す傾向にあったので、半年から1年程度の熟成で随分良くなるような印象もありますが、表面的な美味しさの変化にはそれほど大きな意味がないように感じるので(本質に変化はなし)、この辺りは無難に「失敗なく気軽に飲めるデイリーワイン」と割り切るのが吉なのかもしれません。
父ベッティーノの死や、会社の経営的側面など、様々な事情もあるとは思いますが、歴史と伝統に対する非常に強いこだわりや、一族の名に対するその高いプライドを考えると、ここまで安易なアイテムをリカーゾリの通常ラインで出す必要があるのかどうにやや疑問を感じます。決して中身が伴っていないわけではありませんが(むしろいたって価格相応)、リカーゾリという名(存在)に対する期待のせいか、どうしても残念な印象が強くなってしまいます。
(2009/05)