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トスカーナを代表する造り手「サン・ジュスト・ア・レンテンナーノ」が造るメルロー100%のスーパーワイン「ラ・リコルマ」。2004年は大きな期待が持てるヴィンテージであり、サンジョヴェーゼ100%で造られるフラッグシップ「ペルカルロ」とともに非常に高い評価を受けています。
なんの苦もなく、最初の一口目から滑らかかつ静かな広がりを見せ、多様なハーブを存分に織り込んだベールが表層を覆い浸透していきます。体躯にはメルローらしい豊満さと適度な肉厚を持った柔軟な資質が見られ、現実レベルでリアルな良質さを披露してくれます。サン・ジュスト・ア・レンテンナーノらしく、今飲んですぐ楽しめる明快な魅力が主体となっていますが、そこにプラスしたコアのポテンシャルもしっかり感じられ、時間をかけるとともにリコルマの持つ「本質力」が露になっていきます。
表層的な美味しさ、グッと人を惹き付ける魅力は同年のペルカルロの方が上ですが、本質として存在するポテンシャルありきで構築された魅力がリコルマには感じられるので、個人的には2003年と同じようにリコルマの方に1票を投じたい気分ではあります(あくまでも含有する要素の総量はどちらも同レベル)。
難しい作柄を見事な形で昇華させた2003年とはやや違い、自由に立ち振る舞いを決めたかのような優等生的性質も感じますが、決して驕ることなく等身大の世界を披露してくれるので、こちらも自然体でそのビジョンを享受することが出来ます。辿る経緯は異なれど、最終的に行き着くポジションはどちらのヴィンテージであっても同じようなところにあったので、リコルマというアイテムは必要以上に作柄の影響(負の要素)を受けない傾向にあるのかもしれません。
文句無く素直に楽しめる美味しさがそこにあり、まだ飲んだことが無い人であれば是非一度は試してもらいたいというのが正直な感想です。しかし、それでもペルカルロと同じようにあくまでも現実として実在するレベルにあり、全てを忘れて感動してしまうかのような神秘な領域とはしっかり一線が引かれています。なので、1万円を大きく超えるような非現実的な価格帯であれば無理して選択する必要は無く、あくまでもペルカルロと同じような価格帯で初めて納得出来る内容だと言えるので、希少価値の高さや需要過多の傾向に惑わされることなく、十分熟考してから購入することをお勧めします(年々現実的な価格に落ち着いてきているので、ここは素直に正規インポーターや各ショップの努力を評価したいところかも)。
(2009/12)