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1983年に誕生したペルカルロは、6つの畑から特別選別されたサンジョヴェーゼ100%で造られます。
抜栓直後、まさに最初の一口目から魅力が全開で、燦然たる姿、そして勢いとともに「ペルカルロ節」が見事に行き渡ります。「マジョリティ向けサンジョヴェーゼ」の代表格とも言えるスタンスがペルカルロの特徴の一端ではありますが、仮にその姿勢を訝しげに思っていたとしても、その疑念すら振り払うほどの突き抜ける「魅力」が非常に印象的で、驚くことに現時点で既にピークに達するほどの高い満足感が得られます(当然まだまだ「熟成(成長)」するが、兼ね備えたその「魅力」は既に全開レベル)。
当然ながら造りそのものはしっかりしていますが、それ以上に、ひたすら溢れ続ける快活さが文句の付け用の無いほどの心地よさを生み、一度踏み込んでしまうと抜け出すのが困難なほどの「ペルカルロ流魅惑の世界」が待っているので、じっくり向き合って対話する暇があるならとっとと飲み干してしまいたくなります。本質そのものは従来のペルカルロ同様、シンプルかつ軽快でありながらも力強く優美で、程よい細身加減のサンジョヴェーゼらしい資質に明快な果実味が加わるスタイルですが、ヴィンテージの恩恵もあってかパッケージングの仕上がりが見事で、一見すると足を引っ張りそうな「14.5%」という高いアルコールもまったく気になならい程の昇華レベルとなっています。
やや媚薬的な魅力なので、手放し喜んでいいのかどうか悩む部分も多少ありますが、分かりやすく美味しい間に飲みきってしまう以外にも、数日単位でじっくり時間をかけてコアにある堅牢性や硬質的要素(ある種のサンジョヴェーゼらしさ)を引き出すという楽しみ方も可能なので、このあたりは複数本所有し、その時の気分や状態によってサーヴを変化させるというのも面白いかもしれません。全てが整う規律ある超絶的な世界や、放心状態になるほどの感動に満ち溢れる世界とはまたひと味違いますが、ここまで分かりやすい美味しさを持った「万人が満足できるサンジョヴェーゼワイン」というのもまた希有な存在だと言えるので、まだペルカルロを一度も体験したことが無い人であれば是非試してみてもらいたいところです(1997年のブランカイアに近い世界観かも?)。
(2009/12)