- Good Quality -
必要とされる要素がみっちり詰め込まれており、それでいて破綻が起きないようしっかり手綱が引かれている印象を受けます。まさに現代キャンティ・クラッシコの定番スタイルとでも言うべき完成された佇まいがあり、早く飲んでも十分楽しめる明快快活な仕立てになっているので、いついかなる時に飲んでも望むものがしっかり得られそうな雰囲気を持っています。
確かに若く硬い表情も内包していますが、タンニン、アルコール、果実が渾然となった丸い甘味と張りのある酸味のおかげで、時間とともに全体のバランス感や表情の指向性に変化が見られても、本質的な充足感に変わりはありません。まさに今すぐ飲んでよし、数日かけてて飲んでよし、しっかり熟成させてから飲んでもよし、といった印象です。
過去に飲んだ2003年や2004年と比較すると、この2006年の出来が最も良い印象ではありますが、それでも各要素の充実感の割にはそつなく纏まった世界観であり、より上のクラスのワインが兼ね備えるような「風格」を持つまでには至っていません。良質なキャンティ・クラッシコに違いはないので、毎年飲んでる人に対しては間違いなくお薦めできますが、残念ながら時勢に反して価格が上昇傾向にあるので、相対的なコストパフォーマンスとしてはやや分が悪くなっているともいえます。
(2009/03)