- Good Quality -
高いクオリティのブルネッロを生み出すことで有名な造り手「ペルティマーリ」。そのペルティマーリを所有する「サセッティ家」が、近年注目が集まる産地「マレンマ」でこの「イストリチャイア」を造っています。セパージュはサンジョヴェーゼ・グロッソ80%、チリエジョーロ20%、年間生産量は約15,000本となっています。
イストリチャイアとしての基本スタンスは前年通りですが、指し示す方向や構築されたスタイルが、猛暑だった2003年とは大きく異なる印象を受けます(よりポジティブな印象)。もしかするとアメリカ市場を主眼としているのかもしれませんが、見据えた方向性が「甘い果実味」に偏重している傾向にあり、全体を通じてあまり質実さが感じられません。現状ではまだ若さが勝っていることもあり、抜栓日は特に未開花な印象がやや強く、形骸感や収斂性を伴った主要素の欠如がやや気になりますが、時間とともに程よく昇華し、翌日に持ち越す頃には「陽的な果実味」が主体となってくれるので、純粋な「味」としてはそつなく楽しめるようになります(グラスの選択は2003年と同じで一長一短)。
果実味偏重傾向にあるとはいえ、良質なサンジョヴェーゼワインにみられる酸やクリーンな硬質感があり、それら魅力の鍵となる建築的な立体感それなりに持っています。しかし、残念ながらスケールに乏しく、どうも「薄いアクリルで出来たテント」といった程度の体躯力しかないので、熟した果実味の持つ要素が収容しきれず溢れている印象を受けます。価格帯が2kレンジであれば納得できる内容ではありますが、3k以上であることやマレンマという産地のポテンシャルを考えた場合、少し難しい立場に位置していると言わざるを得ません(とはいえ、熟成によって欠点が大幅にカバーされる可能性はあり)。
(2008/10)