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「サッシカイア」「オルネッライア」とともに「三大ボルゲリ」と呼ばれ、ワイナリーの創設も1977年と、サッシカイアに次ぐ歴史を持っています。ボルゲリらしくカベルネ・ソーヴィニヨンをベースにしているものの、補助品種としてメルローだけでなくサンジョヴェーゼもブレンドしていることもあってか、サッシカイアやオルネッライアよりも「イタリアワインらしさ」を感じます。
多様なハーブ風味だけでなく、仄かに穀物系や木の実系の要素も漂い、香りにおける複雑性は他の2つのワインよりも上かもしれません(対象ヴィンテージは異なりますが)。現段階で初期の飲み頃に達している印象はありますが、まだ各所に若さを感じるシャープさが残っているので、しっかりした熟成感や飲み頃感を得たい場合は、もうしばらく寝かせておいた方が良い結果が得られそうです。
決して力で押すようなスタイルではなく、己の領域を認識し、その中でしっかり出来ることをこなしているような、心地よい落ち着と身近な距離感が好印象です。体躯に凝縮感と堅牢感はありますが、程よいサイズでそつなく構築され、なにより分かりやすい、キュートで魅力的な果実味がスッと中央に入り、その美点を増幅させるよう小気味よい酸味がうまく支えてくれるので、ワインとしてと言うよりも、純粋に「飲み物」として素直に楽しめる奇麗な心地良さを感じさせてくれます。
決して心に響くような訴求力溢れるタイプではなく、秘めたるエネルギーや根幹にまで満ちるポテンシャルなど、兼ね備えた資質としてはサッシカイアやオルネッライアの方に部があるのも事実ですが、それでも「魅力的で分かりやすく素直に美味しく飲める、しかし、決して単純単調なワインではない」という指向性には文句の付けようがなく、両ワインに比べて「垢抜けない」と切り捨ててしまう一部の人の考えにはまったく同調できません。
今回の1本はかなり状態が良く、理想的で奇麗な熟成曲線を描いてくれていたので、多少は差し引いて考える必要があるかもしれませんが、数年前と比較しても大きな変化のない価格帯を維持できているということを考えると、もう少しスポットが当たっても良いような気がします。
ちなみに、このワインは2003年度版のガンベロ・ロッソで最高評価となるトレ・ビッキエーリを獲得しています。
(2008/02)