- Good Quality -
樹齢80年以上の古木から20hl/haという低収量で造られる、「通常ではない」という意味の「アティピック」と名付けられた特別なプピーユです。非常に生産量が少なく、年間100ケース程度となっているので、もし気になっているようであれば早めに入手しておく方が無難です。
やや中空化がみられるものの、メルローらしい柔らかい体躯が印象的で、ベジタブルでプチハーブな風味が程よいアクセントになっています。コアはかなりしっかりしているものの、想像を超えた紐のようで細さで、その周囲を全く中身のない儚さ漂う構造体が包み込んでいます。
正直なところ、抜栓日の印象はかなり微妙で、現時点ですぐ飲めるというだけでなく、本来あるべき力がまったく伝わってこない状態だったので、ヴィンテージ的な側面も含めて「失敗作」という懸念が脳裏を過ります。しかし、翌日に持ち越すことでまったく別のワインだったかのように激変し、想像すらできなかったほどの世界観を披露してくれます。当初はゆるかった体躯が程よく引き締まり、その骨格にピッタリ沿うよう細かったコアが遺憾なく拡張され、これぞまさに「プピーユ」と言えるだけの表情の一端を垣間見せてくれます。
強さや豊かさを感じるような迫力あるスタイルではないものの、その本質をゆっくり紐解いていくことで、そこには高い密度と複雑性を兼ね備えた品格ある知性や教養が含まれているのが理解できます。さすがは「80年を越えるヴィエイユ・ヴィーニュの力量」といったところで、ある意味「腐っても鯛」といった印象ではありますが、若干クセのある表情であることや、気軽に手を出せるような価格帯ではないことから、通常はスタンダードの「プピーユ」や、より手軽な「シャトー・プピーユ」の方が相対的に高い満足感が得られると思います(少なくとも2002年は)。
(2008/01)