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シャトー・プピーユとは異なり、プピーユはメルロー100%の単一品種ワインとなっています。平均樹齢40年、新樽100%で18ヶ月熟成と、スタイルとしては真にクオリティを重視した造りになっています。
インキーな風味と立ちのぼるアルコール、このあたりの印象はシャトー・プピーユと類似しますが、根本的に「意志」の強さが別次元で、最後まで志を通すような一貫したスタイルがとられています。ヴァラエタルワインとしてのメルローらしい柔らかさは導入部分に多少感じられますが、強固で突出した凝縮度を誇る体躯と収斂した圧倒的タンニンが印象的で、冷ややかなステンレス的資質の舌触りを伴った背筋の張りや独自の世界観の方が遥かに印象的です。
全体的にはそれほど大きなボディサイズではなく、比較的すっぽりと収まった感がありますが、限られた範囲内での集中力がかなり高く、細かく浮遊するタンニン含有量も多大で、細く、強く、かつ重く、スッと長く続くフィニッシュへと効果的に繋がります。
明らかなポテンシャル&クオリティ系ワインなので、タイプとしてはやや難易度が高めですが、待たなければ楽しめないという状態を避けるためか、それとも間口を広めるためか、「今飲んでも美味しい」と感じられる導入部分をうまく取り入れているので、時間をかけて熟成させなくても良質なポテンシャルを遺憾なく享受することができます。世間的には「シャトー・ペトリュスと張り合った」という情報が先行しているので、当初は眉唾系かと訝しげに思う部分も多少ありましたが、実際に飲めば十二分に納得できるだけの資質が感じられると思うので、落ち着いた雰囲気でじっくり飲みたい時や、ちょっと特別な時など、普段とは違う時間を楽しみたい時には最適の1本だと思います。
(2006/10)