- Good Quality -
ファースト・ヴィンテージの2000年はペルカルロの代わりとなり、継続して造られた2001年は従来のリゼルヴァ的ポジションに位置していましたが、翌2002年からは正式に「リゼルヴァ」扱いとなり、ラベルにもしっかりその文字が刻まれています。
多少早く飲んでも楽しめる外向的な指向性から、質実さとサンジョヴェーゼらしい心眼性を持ち合わせるような姿へと、年々進化の過程と適度な歩調を感じることができますが、今回の2003年はさらに質実さが増し、猛暑で難しい作柄だったとは思えない程の良質な造りになっています。決して過熟感やダレはなく、想像を超えるレベルで多様な要素が過不足のないバランスで配置されているので、細部にわたって手綱が行き渡っているような印象を受けます。
風格を感じる密度感や凝縮感があり、将来に渡っての成長が期待できるだけのポテンシャルを兼ね備えていますが、それでも体躯そのものがやや軟質傾向にあり(作柄を考えるとさすがにこれは仕方がないか…)、翌日に持ち越すことで苦みや酸が先行するなど、各要素間の微妙なポジション変異が若干気になる傾向にあったので、もしかすると瓶熟成の過程で意図しない方向に進んでしまうかも!?という懸念が僅かに残ります。クラスに見合うだけのポテンシャルと多様性があり、現時点で既にその美点をしっかり享受できますが、決してこちらの期待に応じて心まで十分響いてくれるというわけではないので(まだ心眼が発揮されていない状態かも?)、どことなく「本来はもっと出来る子なハズ」といった印象が最後まで残ります。まさにチガーラの確固たる意思が時間に左右されず最後まで保たれるか否かが最大のポイントになりそうなので、そのポテンシャルを信じ、より長期に渡る成長過程をしっかり見守ってみたい気分です。
(2008/01)