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世の中の超高評価とともに、2003年度のワイン・スペクテーターで年間第10位を獲得したことで、一躍スーパースターの仲間入りをした「オレーノ」です。2001年のオレーノは、サンジョヴェーゼ50%、カベルネ・ソーヴィニヨン25%、メルロー25%というセパージュになっています。
幅広いところでかなり高い評価を得ていることや、2001年という期待できるヴィンテージなだけに、先行して「超絶的な世界観を披露してくるのではないか!?」というイメージがありました。しかし、実際には「普通に飲んで楽しめる美味しいワイン」という、いたって分かりやすい資質の世界観になっていました。全体を通して「想像以上に熟成が進んで全容が見えている傾向にある」というのも原因のひとつで(2001年に比較的多く見られる傾向かも?)、秘められた資質や心に響くようなポテンシャルが特に感じられないので、世間の超高評価が逆にあだになっているようにも感じます。
スタイルとしては、サンジョヴェーゼらしい硬質感&伸びやかな酸でうまく骨格を構築し、そこにカベルネ&メルローによる豊満な果実味の美味しさを付加しているので、まさに「土着品種+国際品種」という組み合わせによる美点を最大限にまで引き出していると言えます。現代的な造りで各要素がミッチリ詰まっていますが、タンニンが微細、且つ舌触りがかなり滑らか&緻密で、そのすべてが心地よく流麗なこともあり(造り手によってしっかり表現、精錬された感がある)、そのすべてのエネルギーを難なく普通に受け止めることができます。
披露される世界がすべて己の内で捉えきれる範囲に収まっているので、この美味しさは誰にでも理解できるものだと言えます。マニア限定ではないということを考えると、こういった低難易度な傾向は非常に有り難く、同一的に指し示す方向性として「ブランカイア」「シエピ」「ナパ・ヴァレー カベルネ・ソーヴィニヨン リザーヴ」あたりが脳裏を過ったので、ある意味、オレーノの価格帯を考えると「驚異的なコストパフォーマンスを誇っている」と言えるかもしれません。ただし、世間の「95点オーバー」という点数評価から連想するような「偉大さ」は特に兼ね備えていないので(数年前だとまた違った印象だったのかも?)、過度の期待は避けた方が無難です。
(2007/12)