- Good Quality -
イタリア人醸造家「フランコ・ベルナベイ」の代表作であり、良きキャンティ・クラシコ・リゼルヴァの「ランチャ」を造ることで知られる、フェルシナのトップキュヴェワイン、サンジョヴェーゼ100%のスーパータスカン「フォンタッローロ」です。
やや弱いボトルに当たってしまったのか、どうも全体を通じてピントが合わず、どこか抜けの悪い表情なのが気になります。もともと高い解像度を誇る系統ではないものの、そういった性質とは根本的に異なり、どことなくホワっとしていてつかみ所がないのが非常に残念です。とはいえ、翌日に持ち越すぐらいまでしっかり時間を与えてやると、本質的な部分が伺えるぐらいまでは昇華してくれたので、ボトル差に影響されなければ概ね満足できる内容になっているとは思います。
サンジョヴェーゼの肝となる酸は感じられるものの、残念ながら2001年のランチャに見られたように、このフォンタッローロに関しても「熟した果実の甘さ」を尊重したようなスタイルで、威厳や風格を醸し出すような骨格は持ち得ず、果実味に関してもやや過熟気味で微かにダレ傾向にあるので、ランチャ同様に「クラスを感じることができない」内容になっています。
向き合って紐解いていくとネガティブな言葉が並びますが、決して美味しくないわけではなく、むしろ基本的には世の評価に準じた「概ね良質なワイン」だと言えます。問題なのは、美味しく飲めるものの、その美味しさが単純に「ごく普通に美味しい」だけなので、このレンジのワインに求める絶対要素が抜け落ちているという部分にあります。ランチャの場合は「徹底して腰が低い」状態だったので、ある意味これはこれでアリだと感じましたが、フォンタッローロに関してはそこまでの徹底感がないので逆に気になります。
今回の1本が単純にヘタレボトルだった可能性もありますが、同じヴィンテージのランチャも同質の問題を抱えているのと、過去に飲んだ1999年のフォンタッローロの出来を考えると、残念ながら今回のヴィンテージは失敗した(それとも方向性を見誤った?)のではないか、もしくは「これが2001年というヴィンテージの特徴なのかも!?」といった結論に行き着いてしまいます。ある意味このスタイルの方が万人受けするので何とも言えない部分もありますが、事の真相を確かめるには、ある程度異なるロットを複数回試すしかないのかもしれません(何度も言うが決して美味しくないわけではない)。
ちなみに、このワインは2005年度版のガンベロ・ロッソで最高評価のトレ・ビッキエーリを獲得しています。
(2007/11)