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最初の単一クリュ・キャンティと言えば、1982年にアマが「ヴィニェート・ベッラヴィスタ」を、1983年にフェルシナが「ランチャ」を、そして1985年にフォントディが「ヴィーニャ・デル・ソルボ」を造ったことがあげられます。これらはその後の「クリュ指向」という流れを作ったワイン達であり、まさに「単一畑によるキャンティ・クラッシコの礎」を築いたワイン達だとも言えます。
2000年を超えるような明確な「熟した果実の甘さ」が印象的で、サンジョヴェーゼとは思えない程の「腰の低さ」が前面に打ち出されています。優良なヴィンテージ力を感じる骨格の安定感も裏で感じられますが(屋台骨としては意外とよく出来ている)、複雑性や堅牢性、そしてサンジョヴェーゼを表すような硬質さや職人気質さは特に持ち合わせていないので、あくまでも表層的な指向性が強い「シンプルに甘くて美味しいワイン」となっています。
自らの主張はどこ吹く風で、時代の流れにあっさりついていくかのような軟弱な性格なので、サンジョヴェーゼらしい威厳や風格を期待する人にとっては満足できない内容になっていますが、それでも2001年らしいバランスの良い骨格に抜群の甘みを追加するというスタンスは、安易ながらもある意味「グダグダ言わずただ飲めば良い」というハッキリした主張にも繋がるので、これはこれで文句なく楽しめるのも確かです。
単一クリュ「ランチャ」としての風格不足な面や、それでいてなお「高価格」ということを考えると、積極的にお薦めできる要素が少ないのですが、それでも実際に飲めば思いのほか満足できる内容を提示してくれるので、懐に余裕がある人であれば選んで失敗するようなことはないと思います。
(2007/10)