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デイリーワインに力を注ぐという理由で、オーパス・ワン・ワイナリーは既にモンダヴィの手を離れていますが、今回のロットは売却の話が出た直後のものなので、血統的には従来のモンダヴィ&フィリップを継承していると言えます。
オーバーチャーの方向性としては「クラシックなボルドースタイル」を目指していて、セパージュはまさに「ボルドー・スタイル」と言える、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、メルロー、プティ・ヴェルド、マルベック、によるブレンドとなっています。
基本的にはノン・ヴィンテージとなっていますが、3年前に飲んだボトルとは異なり、今回飲んだロットには2002年のコピーライトが記されているので、フレンチオークによる18ヶ月の熟成と瓶熟18ヶ月という情報を考慮すると、逆算してある程度は中身が推測できると思います。
抜栓直後の印象は、ミディアムボディでまさに「オーヴァーチャー」という様相。グッと飲み手を惹き付けるスタイルで、過去に飲んだ時の記憶がよみがえります。しかし、ものの数分で状態に変化が現れ、やや焦げ味の強い樽風味が際立ち奥から僅かに青っぽいタンニンも顔を出し始めます。
現状では、オーヴァーチャーのスタイル自体は楽しめるものの、かなり若々しく、バランス面においての不均衡さが非常に気になります。その結果、ややフラットな部分が不意にフィーチャーされ、どうしても全体的にちぐはぐな印象を受けてしまいます。
とりあえず3日目まで様子を伺ってみましたが、世界観が理解できる程度のポテンシャルは引き出せるものの、どうしても「無理矢理叩き起こした」ような印象の方が強くなるので、「早飲みが基本」という人以外は今飲まない方が無難です。従来は「1年程寝かせることで美味しくなる」と言われていましたが、今回のロットを飲んだ感じでは最低でも3~5年ほどは寝かせておかないと、本来持つ「求心力」が顔を出すことはないと感じました。
現地流通価格で手に入れた場合はある程度満足できる内容かもしれませんが、国内での流通価格となる1万円強で入手した場合はガッカリする可能性も大いに考えられるので、ショップの煽りに惑わされることなく落ち着いて判断する必要があります。