- Good Quality -
アレハンドロ・フェルナンデスは、1989年にリベラ・デル・ドゥエロでコンダード・デ・アサを、1998年にはサモラでデエサ・ラ・グランハを購入し、その集大成としてラ・マンチャでエル・ビンクロを造りました。このエル・ビンクロは、マロラクティック発酵と16ヶ月の熟成をアメリカン・オーク樽で行うテンプラニーリョ100%ワインとなっています。
ややシンプルで細身ではありますが、想像以上に纏まり感があって落ち着いた表情を見せてくれます。同レベルに位置するタンニンと酸がうまく調和し、良い意味でモダンな表情がどことなくフランスワイン的でもあります。
抜栓日は各要素に距離感があって若干物足りない印象もありましたが、翌日に持ち越すと構造に安定感が増し、最後の1杯となる頃には甘いタンニンが溢れ素直に楽しめる結果となりました。各要素はシンプルながらもうまく調和しているので、素直に美味しくわかりやすい表情を兼ね備えていると言えます。ただし、美味しいと感じながらもどこか疑問が心の片隅に残るので、本来兼ね備えた葡萄の果実力ではなく、アレハンドロ流の醸造技術によってうまく仕上がっているという可能性も考えられます。
多少疑問は残りますが、時間の経過に伴い、タンニンと酸がうまく同調し独自の世界観を安定構築しだすので、現状で表面上に表れる要素だけで判断するのではなく、もう少し長い目(要瓶熟成)で見てやる必要があるのかもしれません。クオリティ的には同価格帯のコンダード・デ・アサと同じような位置にあるので、アレハンドロ系のワインが好きな人にとっては間違いのない1本だとも言えます。
(2005/10)