- Good Quality -
シャトー・ムートンのように、毎年異なる画家によってラベルが描かれるルーウィン・エステートの「アート・シリーズ」です。今回試飲した1997年のラベルは、John Kellyが描く「Labyrinth(迷路)」となっています。
この年の春は寒く平均以上の雨が降り、その後乾燥した生育期へと推移したようです。ちなみにセパージュは、カベルネ・ソーヴィニヨン86%、メルロー7%、マルベック5%、プティ・ヴェルド2%となっています。
エッジが既に茶色になり始め、仄かに熟成感が出始めているのに驚かされました。抜栓直後の数分で一気に開花し、兼ね備えているポテンシャルを遺憾なく発揮してくれます。しかし、少し苦めのオーク、青みのあるタンニン、妙に目立つ構造の緩さ等、ネガティブな要素が時間とともに露になっていくので、最終的にはバランス面での問題に突き当たることになります。しっかりとした果実感やそれ相応の資質など、評価できる部分も大いにありますが、全体を纏める体躯の力不足が気になるので、コストパフォーマンスを考えるとより一層物足りなさを感じます。
想像以上の熟成感が出ていたこともあるので、このボトルだけで全てを判断するのは尚早かもしれません。とりあえず、他のヴィンテージ(1999年)や今後の発展&進化に期待を込めたいところです。
(2004/08)