- Very Good Quality -
1985年に創立と、ワイナリーの歴史は浅いのですが、クレリコやスカヴィーノらを通してマルコ・デ・グラツィアに出会い、91年からバローロの改革に着手しています。
パルッソのクリュ・バローロと言えば、モンフォルテ・ダルバで造られる「ブッシア・ヴィーニャ・ロッケ」と「ブッシア・ヴィーニャ・ムニエ」が有名ですが、他にも1998年がファースト・ヴィンテージとなる「ブッシア・ヴィーニャ・フィウリン」、そして「マリオンディーノ」、モンフォルテ・ダルバとカスティリオーネ・ファッレットで造られる「ピッコレ・ヴィーニェ」など、様々な種類が存在しています。今回飲んだブッシア・ヴィーニャ・ロッケは、パルッソを代表とするバローロであり、砂が多く南向きの畑から造られ、おおらかな果実が溢れるスタイルとなっています。
1997年はピエモンテにとっても概ね優れたヴィンテージだと言えますが、雨が少なく異常に暑かったことから、バローロにとっては少し難しいヴィンテージと言えるかもしれません。今回のワインは南向きの良質なクリュであることから、97年というヴィンテージの特長を色濃く反映しているようですが、必要以上にコッテリした甘みがあるわけではなく、想像してたよりも纏まっている印象を受けます。ただし、思い描くバローロ像とは若干異なるスタイルになっており、タンニン含有量は膨大ながらも広がりのあまりない、比較的短絡的なフィニッシュとなっていました。特に抜栓直後は収斂性が非常に強く、タンニンの鋭さだけが目立つ状態だったので、まずはデキャンタに移して5~6時間程様子をみることにしました。
ある程度時間を与えることでかなり向き合いやすくなりますが、ハッキリとした魅力があるわけではなく、あくまでも「良質なバローロ」という印象が残る程度でした。しかし、一旦デキャンタに栓をし、それから約24時間経過後に再び試飲したところ、各表情は抜栓直後と同じ資質ながら、魅力ある方向に大きく昇華し余韻も大きな広がりをみせていました。強固ながらも洗練された流麗な酸が顔を出し、果実やタンニンを綺麗に包み込んでいます。この世界観から解き放たれる訴求力はかなりのものだと感じます。
しっかりと時間を与えることで抜栓直後からは考えられない程の一体感が出てきますが、完全に開くまでにあまりにも時間がかかるので、少なくとも後2~3年は寝かせておいた方が無難かもしれません。
※今回試飲したのは現地流通ボトルとなっています
(2004/01)