- Good Quality -
以前飲んだアルは地中海沿岸のバレンシア州で造られるアリカンテでしたが、今回のガスールは内陸部で造られるリベラ・デル・ドゥエロとなっています(ボデガス・バルデリスとのコラボーレーション)。テルモ・ロドリゲスによる独自の手法が、各地のテロワールとどう絡んでくるのかに興味が湧きますが、この価格帯ではやはり醸造面におけるテルモの力の方がより強く表面に現れていると言えます。
抜栓直後はかなりアンバランスな状態でしたが、時間とともに各要素から生み出される表情が大きく推移します。抜栓から3日経過したぐらいでようやく安定したのですが、コアの部分でアルと同じ資質を感じるものの、柑橘系の酸とその後ろに隠れた素直な赤系果実の甘みが印象的なので、結果的にはアルとは異なる独特の世界観を披露してくれます。
フィニッシュにかけての印象を踏まえると、国際的な嗜好をより意識したようなスタイルだと感じるのですが、このあたりの「テルモ・ロドリゲスらしい仕立て具合」をどう受け止めるかで評価が変わってきそうな気がします。良い面を引き立てると魅力は増大し、悪い面に目をやると魅力は大きく半減します。嗜好性の問題はあってもワイン自体が良質であることには変わりないので、選んで失敗するようなことはないと思います。
(2003/07)