- Good Quality -
かつての故郷を取り戻すと言う想いのもとで造られたのが、この特別栽培米の純米大吟醸「幸の鳥」。一般的に特別栽培米と言えば、農薬や化学肥料の窒素成分を5割以下に抑えて栽培された米のことを指しますが、この幸の鳥で実施されている「コウノトリ育む農法」では、農薬や化学肥料を使用しないだけでなく、そこで生きる生物達との共存を目指し、冬でも田圃に水を貯めるなどの特別な管理を行なっています(一升瓶あたり6m2の田圃が無農薬で維持されている)。精米歩合は40%(山田錦)でアルコール分は15度。
一体感が高くまろやかで、全体的に優しく落ち着いた風味なのが特徴的です。先に試飲した皂色ヴィンテージがどちらかと言うとコントラストがハッキリとした系譜でしたが、幸の鳥は明確に突出した要素がなく綺麗にボディ全体に打ち解け、たおやかな表情がより印象深くなっています。フルーティーな甘みも控えめな傾向にあり、温度帯についてもあまり冷やし過ぎず、常温に近い温度帯の方がより良好な表情が広がる傾向にあります(セラー保管温度や赤ワインのサービス提供温度あたりが目安になりそうな印象)。
原料となる米にコストがかかっていると言うこともあってか、どうしても最終的な製品価格も高価になってしまうのは仕方がないことではありますが、基本的には純粋なコストパフォーマンスよりも自然環境の維持や次の世代を見据えたような、サステナビリティをより重視する層がメインターゲットと言えるかもしれません。
(2023/07)