- Good Quality -
2001年にニュージーランドのマーティンボロでワイナリーを設立。今やニュージーランドを代表するだけでなく、世界基準で非常に高く評価される日本人醸造家「楠田浩之」によるシラーです。2013年はフレンチオークバリックで20ヶ月熟成(新樽比率23%)、生産本数は3,687本となります(アルコール度数は13%)。
10年熟成させた初のオールド・ヴィンテージとなるクスダ・ワインズのシラーですが、表情は滑らかで纏まり感があり非常に落ち着いてはいるものの、それでも特に熟成感が出るようなことはなく、言われなければ10年の熟成を経ているような印象は受けません(まだまだ10年単位の長期熟成が可能でポテンシャルは高い)。抜栓日は、野イチゴ的な野性味やキュートさに加え、多少控えめながらも梅鰹のような甘旨味が感じられ、全体的な表情としてはやや還元的な硬さを持つ傾向にあります。酸が印象的な傾向にありますが、それでも時間とともに徐々に表情が推移し、時間とともに果実味の方に主眼が移る傾向にあります。さらに日を跨ぐほどしっかりと時間を与えると、少しずつ本来のシラーらしさが表出し始め、低重心でスパイスをより感じるしっかりとした充実感、そしてタンニンが主体となった世界観へと変化します。
以前のヴィンテージで感じた軟質な要素はほとんど感じられなくはなっていますが、実際としては、軋みを感じるような硬さがより前に出ているので相対的に減衰しているように感じるだけで、コアの軟質さそのものについてはそこまで大きな変化はないのかもしれません。全体像はやや異なるものの、内包する各要素の表情や資質については以前試飲した2012年を長期熟成させたかのような系譜にあるのは確かなので、その基本姿勢は非常にポジティブで良好な傾向にあります。そういう意味においては、最終的にはボトル差などのコンディションや、価格の高騰によるコストパフォーマンスの問題など、副次的な要因によって最終的な満足度が左右されてしまうかもしれません。
(2023/03)