- Good Quality -
偶然や巡り合わせなど、形を成さない概念を象徴するワインがこの「ロンド」。セパージュはカベルネ・フラン75%にメルロー25%。ステンレスタンクでの低温発酵が完了後にボトリングしています。
赤紫系の親しみやすい表情を持ち、アタックから伝わるフルーティーな口当たりの良さを活かしつつも、後味にかけてカベルネらしいハーブ系の風味を心地よく靡かせる、非常にバランスのとれた「素直に飲んで楽しめる美味しいワイン」に仕上がっています。乳酸の要素や丸みも適度に感じられ、その表情は意外と陽的で酸も十分あり、そのモダンなスタイルと全体的な一体感などからして、どちらかというとフランスよりもイタリア寄りな印象を受けます。しかも気軽に飲めるだけでなく、ボディ内部には微細な粒子感があり、充足感のあるインキーさが一定のポテンシャルも打ち出せているので、このクラスのワインとしては非常に完成度が高くポジティブな印象を受けます。
思いの外時間とともに表情は変化し、徐々にフルーティーな親しみやすさよりも本来のボルドーらしいスパイシーな表情が前に出る傾向にはありますが、それでも全体像を維持する適切なバランス感覚は変わらず、終始安定した訴求力を発揮してくれる傾向にあるので、総じて印象は良好な傾向にあります。白のビファスもかなりポジティブな印象を受けましたが、この赤も同等以上の良さを感じるので、この価格帯でとにかく素直に美味しく、そして楽しめるワインを飲みたい層に対して素直にお薦めできそうです(ニューワールドに対する伝統産地なりの回答とも言えそう)。
(2023/02)