- Very Good Quality -
ブランカイアがトスカーナで話題の土地「マレンマ」で造る現代的な切り口によるブレンドワインがこの「イラトライア」。セパージュはカベルネ・ソーヴィニヨン40%、プティ・ヴェルド40%、カベルネ・フラン20%。
第一印象はストレートな魅力を持った「モダンなカベルネ系ワイン」といったもので、以前のヴィンテージで感じた堅牢性や凛としたスタイルよりも、リッチで分かりやすく訴求する素直なスタイルを色濃く感じます。この辺りは、以前ブレンドされていたサンジョヴェーゼに変わってカベルネ・フランが使用されていることなど、根本的なビジョンや世界観に多少の変化が見られている点が主な要因かもしれません(サンジョヴェーゼからカベルネ・フランに変わったのは2009年から)。
現状で既に10年経過していますが、それでも熟成感や妖艶さが感じられるようなことは特になく、むしろ溌剌としたフレッシュさや瑞々しさ、そして滑らかなテクスチャなどから、まだ4〜5年程度しか経過していないような印象を受けます。熟度が高く緻密で、バニラやチョコレートの風味が心地よい「これこそがモダンなカベルネワイン」とでもいうべき明快な表情が広がりますが、それでも意外とイタリアワインらしい酸味がしっかり感じられ、濃厚でありながらも決して重くはならない流麗な立ち振る舞いがキープされています。
以前のヴィンテージと比較すると全体的なパッケージングに進化が見られ、さらには向き合うことに以前よりもそこまで体力を必要とするスタイルではなくなったので(それでも十分リッチですが)、今飲んで楽しめるだけでなく、今後も10年単位で楽々熟成させることが可能なポテンシャルを同時に兼ね備えているのも大きなメリットだと言えます。
(2023/02)