- Very Good Quality -
プリモ・パラテュームのソーテルヌは、イケムとレイモン・ラフォンの間にあるブートックの区画から、樹齢70年のセミヨン100%で造られています。新樽比率は100%で発酵と熟成を行い、最終的なアルコール度数は14.5%(ラベル表記は14%)、残糖190g/lという非常にリッチなスタイルに仕上がり、生産本数は僅か600本のみとなっています。
今回のロットは14度で管理し、約15年間ほぼ動かすことなく熟成させた貴重なもので、ボトルコンディションはまさに極上。コルクもかなりしっかりしていて、一見するとまだ数年程度しか経過していないような印象でもあり、ニューリリースのワインと同じレベルで驚くほど簡単に抜栓することができます。
色調はかなり濃く、鼈甲のような飴色ですが、非常にクリアで輝きがあり、退色は一切見られません。ボトルやコルクも含めて、見た目の印象も実際に試飲した印象も、どちらもとても20年経過している古酒とは思えないほど生き生きとし、終始充実したパワーとエネルギーに満ち溢れた偉大な仕上がりとなっています。ファーストインパクトから、リリース直後に試飲した1998年のリューセックが脳裏をよぎるような明確な甘みがストレートに伝わり、そこからアフターにかけて高アルコール由来のヒリリとした辛味が全体を引き締めます。これだけの高い残糖を誇りながらも、全く緩みやダレがないどころか、むしろボディにはキリッとした輪郭を感じる硬質感があり、酸を含めた各要素のバランスが非常に良好で、終始圧倒的な濃密さを展開するまさにモンスター・ソーテルヌと言える世界観が広がります。
コアには熟成によって勝ち得たであろう妖艶さも僅かに感じられますが、それでも圧倒的な甘みと高いアルコール、そして十分な酸が生み出す一体感によって放たれるエネルギーによって、まだリリースされてそう間もないような印象すら受けます。当然のように、抜栓後数日程度ではビクともしない堅牢さがあり、今回のボトルコンディションの良さも加味すると、今後もリコルクなしで30年以上は軽く持ちこたえそうな圧倒的な存在感を放っています(存在自体がもはや奇跡的)。
エレガントで繊細かつ複雑なタイプのソーテルヌではなく、あくまでも力強く濃密なタイプのソーテルヌを好む人向けではありますが、それでも非常に高い次元でバランスしていて堅牢性が高く、終始ブレなくストレートに訴求してくる傑出した仕上がりなのは確かなので、希少性が高く入手は容易ではないものの、ボトルコンディションさえ良ければ積極的に試す価値のある一本だと言えます(食事とともに楽しめる系のソーテルヌ)。
(2023/01)