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エリオ・アルターレを代表する畑「アルボリーナ」で造られるネッビオーロ100%のワインには「ランゲ アルボリーナ」と「バローロ アルボリーナ」の2種類存在しますが、こちらは新樽比率がより高く(100%)、逆に熟成期間が短い(18ヶ月)「ランゲ」になります。また、この2012年からランゲ・ロッソは畑名を名乗れなくなってしまったので、「ジャアルボリーナ(ジャ・アルボリーナ=既にアルボリーナ)」と皮肉を込めたネーミングに変更されています。
ヴィンテージの影響もあってか、前年の2011年が本来のアルボリーナ像とは異なる、やや残念な結果だったのがまだ記憶に残るところではありますが、同じく弱いヴィンテージとされる今回の2012年に関しては、逆に「これぞまさにアルボリーナ!」とも言える明快な魅力を持った世界観に仕上がっているので、事前の懸念を完全払拭してくれる内容だと言えそうです。
状態としては、まさに「完璧に今からが飲み頃」といった印象で、抜栓直後からストレートにアルボリーナらしい明快な魅力が伝わってきます。偉大なヴィンテージに見られるような圧倒感はないものの、それでもとにかくパッケージングが良好で、全体像としてはやや酸が主体となったスッキリとした表情ではあるものの、それでも熟度の高い身の詰まった甘旨味に、ベルベットのような質感や滑らかなベールを纏った表層、そしてこれぞネッビオーロの本質とも言うべき豊富なタンニンが全てを盤石に取りまとめ、完全体とも言える一体感ある姿が見事に構築されています。
抜栓後にしっかりと時間を与えると、流石に重厚なタンニンからくるドライな収斂さが前に出てきますが、これは逆に言うと、今から素直に楽しめると同時にまだまだ長期熟成が可能なことを示唆しているとも言えるので、飲み手からするとむしろ非常に有難い指向性と言えるかもしれません。従来、バローロよりもランゲのアルボリーナの方が早く飲み頃がやってくると言われていましたが、それでも個人的にはランゲもかなりしっかり熟成させてから飲むべきワインだと感じていただけに、今回は2012年というヴィンテージのスタイルがよりポジティブな変化をもたらせてくれたようにも感じられ、前年の2011年とは異なりかなりお薦めしやすくなっている印象を受けます。
(2022/11)