- Good Quality -
エリオ・アルターレを代表する畑「アルボリーナ」で造られるネッビオーロ100%のワインには「ランゲ アルボリーナ」と「バローロ アルボリーナ」の2種類存在しますが、こちらは新樽比率がより高く、逆に熟成期間が短い「ランゲ」になります。
アルボリーナとしての高いポテンシャルは十分感じられるだけの内容にはなっていますが、2011年というヴィンテージのスタイルなのか、それともボトル差なのか、全体的にバランス面にかなり大きな課題を抱えているような傾向にあります。他の2011年のネッビオーロ系ワインと比較すると、まだそこまで目立っているわけではありませんが、それでも相対的には柔らかめの質感を有するボディになっていて、厚みや充実感も従来のアルボリーナと比較するとかなり控えめになっています。テクスチャ自体は流麗で、じっくりと噛み締めることで優しく穏やかな果実の甘みと旨みが滲み出てきますが、それでも圧倒的とも言えるレベルで突出しているタンニンがかなり気になることもあり、強い苦味と渋み、そしてアフターにかけて口中に強い渇きをもたらす収斂要素が全体を支配しているので、この極めて突出したタニックスタイルをどう捉えるかで明確に評価が分かれそうな印象です。
ランゲとしてのアルボリーナ像を想像すると、果実のボリューム感がかなり控えめではありますが、それでも抜栓日の印象はポジティブで、まだ陽的な要素も感じやすいので素直に楽しめる傾向にはあります。しっかり溶け込んだ優しいチョコレートやバニラの風味も仄かに広がり、十分な飲み頃感が伝わりますが、その反面、厳格なタンニンは全く打ち解けず、むしろ時間とともにその厳しさは増し、翌日に持ち越してしまうと厳格な要素でその他の要素をマスキングしてしまうほどでもあったので、あまりワインを飲み慣れていない層には訴求しない世界観だとも言えます。口の中でじっくり噛み砕いていけば、優しい甘みが表出するものの、これ以上熟成させても果実要素の方が先に減衰してしまう可能性が高いので、最大の課題となっているバランス面が改善される可能性は低そうな印象でもあります(それでも純粋な寿命という観点ではかなりの長命)。
(2021/11)