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バローロの生産エリア北部に位置する「ロッディ村」の唯一のクリュがこの「ブリッコ・アンブロージョ」。かなりマイナーなクリュ・バローロですが、その品質に注目していたスカヴィーノ家が2001年に購入。そしてその独自の個性と可能性を示すために単一クリュとしてボトリングされています。畑の標高は275mで南と南東向き、土壌は石灰岩と泥灰質土壌(マルネ・ディ・サンタガタ・フォッシリ)で構成されています。植樹は1947年、1949年、1950年、1969年、1971年、1972年、1977年、1980年、1999年、2001年、2002年、2003年、2004年、2008年。ちなみに今回のロットは、オールドヴィンテージとは思えないほどラベルもコルクもかなり綺麗で(蔵出しに近いレベルの真新しさ)、状態は非常に良好な反面、価格は通常の現地流通価格よりも割高傾向にあります。
抜栓直後から既に一定水準の一体感が見られ、まさに飲み頃といった落ち着いた全体像が展開されます。同じ北部のクリュでも、モンヴィリエーロとは全く異なる個性を持っているのが非常に印象的で、このブリッコ・アンブロージョは酸を主体とした穏やかな物腰となり、全体を通して果実味やタンニンとのバランスがより整っている傾向にあります。樽のニュアンスは大樽や古樽系でモンヴィリエーロと同質ですが、主張は控えめでボディとの一体感が出ていることや、仄かにチョコレートの風味も感じられ、とにかくよく馴染んでいます。
クリュの個性や2012年というヴィンテージのスタイルに加え、造り手としての手綱捌きも印象的で、とにかく内包する各要素のバランスが良好なので終始素直に楽しむことができます。ボトルの底の方になると、さすがに「これぞバローロ」とも言える重厚なタンニンが表出するようになりますが、それでも苦みや渋みが突出するようなこともなく、長期的な熟成も可能なレベルのポテンシャルを有しながらも、そのバランスの良さから今すぐ全てを引き出すことが可能な、かなり使い勝手の良い表情を持っている印象です(唯一の問題は高価な価格帯?)。
(2022/11)