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ニュージーランドに移住してきた曾祖父の「ジュゼッペ・ヴァリ」に敬意を表し、この地の先駆者でもあるワインメーカー「グラント・テイラー」が興したワイナリーが「ヴァリ」。オタゴが持つサブリージョン毎の個性をワインに映し出すことを目的とし、拠点となるギブストンの他にも、バノックバーン、ベンディゴ、ワイタキという4地域からピノ・ノワールを造り出しています。
ノース・オタゴの「ワイタキ」は、ニュージーランドで最も新しいワイン産地のひとつで、場所は南島の南東部、カンタベリーとセントラル・オタゴに挟まれる形で位置しています。石灰質土壌に冷涼な海洋性気候が組み合わさっていることで、世界的にみても優れたピノ・ノワールの産地としての期待が高まっています。
同じヴィンテージのギブストンとはかなり異なる指向性、そして世界観なのが印象的で、純粋な甘みは控えめながらも、旨味はしっかりと内包し、何よりもやや太めの酸を主軸とした、低重心の黒系寄りのボディで構成されているのが特徴となります。滑らかなテクスチャや良質なピノ・ノワールらしい立ち振る舞いなど、基本スタイルはギブストンと同様なので「ヴァリらしい明快かつ良質な造り」は十分堪能できますが、それでも酸主体で構成されると言うこともあってか、どちらかと言うとワイン単体で明確に主張するタイプというよりも、現実的に食事とともに合わせることでより花開く印象でもあります。
早くから楽しめるスタイルなので今でも十分飲めますが、それでも現時点では各要素に若干定位感がみられない印象でもあるので、印象としては後半年〜1年程熟成させるか、もしくは抜栓後20分程待ち、そのまま抜栓日に飲みきってしまうというのがベターかもしれません(ギブストンと同様に各要素のバランス次第で多少評価が揺れそう)。
(2022/07)