- Good Quality -
ワイナリーの東側に位置する急斜面の自社畑「桜沢圃場」「長門原圃場」で栽培されたシャルドネをオーク樽で発酵、半年間のシュール・リーを経て仕上げています。生産本数は約2,200本。
色調はしっかりとした黄金色。やや生木っぽい樽のニュアンスが明確に感じられますが、コア部分の充足感や全体的なバランスの良さ、それでいてスッキリとした佇まいを維持していることなどから、意外と突出するようなことはありません。むしろ抜栓直後から硫黄のニュアンスがやや強めに感じられることの方が気になる傾向にあり、時間とともに多少穏やかにはなるものの、それでも翌日に持ち越しても完全に消えることはないので注意が必要かもしれません。とは言え、基本姿勢が赤のワイン・ヴィーナスと同様で、オフフレーバー系の要素があっても不思議とネガティブな印象は受けないので、これらの要素に特別敏感な人でなければ概ね問題なく楽しめると思います(それでも分析寄りの純粋なテイスティングだとどうしても評価は下がる)。
樽の仄かなバニラ、赤同様数値以上にしっかりした一定のアルコール感(表記は12%)、苦味、ヒリヒリと引き締まる辛味、シャルドネらしいニュートラルな資質と、コアそのものの充足感とは裏腹に、受ける印象は綺麗で落ち着いたサッパリした系譜にあるので、かなり飲みやすく素直に受け入れられる印象です。全体的に赤よりも仕上がりが良好な傾向にあるので、もし奥野田ワイナリーの自社畑ワインを一本選ぶのであれば、こちらの桜沢シャルドネをお薦めしたいところではあります。
(2022/04)