- Good Quality -
自社畑となる「神田圃場」で栽培されたメルローとカベルネ・ソーヴィニヨンを50%ずつブレンドし、オーク樽で12ヶ月間熟成。奥野田ワイナリーが誇るフラッグシップワインとなります。生産本数は約3,600本。
品種から想像するイメージとは異なり、実際は透明感のあるやや薄めな色調で(どちらかというとピノ・ノワールのようの見た目)、抜栓直後はツンとした揮発系の要素や若干の退廃感が広がります。とは言え、コア部分にしっかりとした充実感とエキス分が感じられることもあってか、表層的に揮発酸や酢酸などのオフフレーバー系の要素があっても、なぜか不思議とネガティブな印象は受けません(とは言え決してポジティブではないので要注意)。もし気になるようであれば、抜栓後にしっかりと時間を与えればある程度の対応はできそうです(翌日に持ち越せば揮発系の要素に関してはほぼ感じられなくなる)。
全体的にはやや軽やかなミディアムよりの重量感で、主にカシスなどの紫系の表情が主体となっています。ボディに骨格を感じるような系譜ではなく、むしろ軟質傾向(ややゼラチン質)ではありますが、それでも相対的には意外とコアがしっかりしている印象でもあり、アルコールも12%という表記以上にしっかりと感じられます。基本的に、薄めの酒質を持つ「昔ながらの日本のワイン」の延長線上にあるような世界観なので、国際基準のリッチなモダンワインを飲み慣れている層にとっては物足りなさを感じるかもしれませんが、それでもワイン単体ではなく、あくまでも料理とともに時間をかけてじっくり向き合ってやれば、価格帯に応じた一定の満足感は得られる印象です。
(2022/04)