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サトウ・ワインズのスタンダードなピノ・ノワールは、以前からクロムウェルのすぐ北、ダンスタン湖の西側にある「ピサ・テラス・ヴィンヤード」から造られていましたが、2015年ヴィンテージから、晴れてワイン名にも「ピサ・テラス」の名が刻まれています。
2016年の全房比率は16%で、熟成は新樽比率15%のフレンチ・オーク・バレルで16ヶ月間、生産本数は僅か5,960本(無清澄無濾過でボトリングは2017年9月1日)となっています。ピサ・テラスとノースバーンは湖を中心にして「左岸(午前の日照主体)」か「右岸(午後の日照主体)」かという違いがあり、両方のキュヴェを飲み比べることでそのテロワールの違いを明確に感じ取ることが出来るというのが最大の特徴となります。
これまでのサトウ・ワインズのイメージとは一味異なる世界観なのが非常に印象的で、全体的な一体感、テクスチャの滑らかさ、繋ぎ目のない落ち着いた各要素など、いたって穏やかなスタイルに仕上がっています。これまでも年々進化と発展がみられる傾向にありましたが、従来はポテンシャル系の要素がかなり前面に打ち出されていることもあってか、エネルギーは豊富な反面、やや難易度も高めな傾向にあったものの、今回の2016年は想像以上に落ち着いた現実的なエネルギー感なので、かなり分かりやすく万人に受け入れられそうな印象でもあります。抜栓直後、最初の一口目こそ、物足りなさやある種の希薄感はあるものの、そこから5〜10分程度で一気に目を覚まし、時間の経過とともに訴求力や求心力がみるみる上がっていく傾向にあります。しっかりとした緻密さを持ち、やや赤系よりの穏やかな果実味に、終始十分な酸も感じられ、インパクトこそないものの、伝統産地的なピノ・ノワール像を彷彿とさせるような良質さが存分に伝わってきます(ピサ・テラスにおける進化系として捉えるとかなりの好印象)。
(2022/02)