- Good Quality -
歴史ある造り手「ベナンティ」を代表するアイコンワインの一つがこの「セッラ・デッラ・コンテッサ」。セパージュはネレッロ・マスカレーゼ(85〜90%)とネレッロ・カップッチョ(10〜15%)の混植で、エトナの伝統とも言える土着2品種のブレンドによる相互補完を現代でも貫いています。畑はベナンティの本拠地とも言えるヴィアグランデにある「コントラーダ・モンテ・セッラ」。標高は500m、アルベレッロ仕立てで、プレ・フィロキセラの樹齢100年を超える自根の古木から(1910年に植樹)、2015年は僅か3,066本のみ生産されています。
ロヴィッテッロと同様に色調は淡くやや褐色がかっていて、一定の熟成要素が感じられる古酒的退廃感を含有していますが、それでもエトナ南東部にあるヴィアグランデらしいスタイルで、どちらかというとボディの充足感やボリュームのある果実の厚みを感じるスタイルになっています。全体像としては程よくコンパクトに纏まっていますが、アタックの充実感や果実そのものの身の詰まった甘味など、樹齢の高い自根ならではの緻密さが印象的で、純粋な構成要素や評価ポイントとしては、ロヴィッテッロよりもこのセッラ・デッラ・コンテッサの方に分がある印象です。とはいえ、ピンポイントに刺さる層がイメージできるロヴィッテッロとは異なり、葡萄の厚みを生かしたアタック重視の要素がある分、噛みしめるような滋味深さは控えめで、より明快に味覚で感じる要素が前面に出ているので、結果として刺さる層はさらにニッチな傾向にありそうな印象です(古さと新しさが混在した独特の世界観)。
基本的には、樹齢100年を超えるプレ・フィロキセラの自根葡萄で造られるワインという、ある意味他では得られない希少性と特異性が最大の特徴とも言えるので、一般的なワインでは絶対に得られない経験をしたい人向けと言えるかもしれません。
(2021/01)