- Good Quality -
ニュージーランドのマールボロ地区でいち早くソーヴィニヨン・ブランを見出したとも言われる生産者「クラウディ・ベイ」で、創業以来約25年間チーフ・ワイン・メーカーを勤めた「ケヴィン・ジュッド」が、2009年にスタートさせたブランドがこの「グレイワッキ」。グレイワッキとは、ニュージーランドで一般的な「堆積岩」のことで、「国を代表するワインになりたい」という思いがこの名に込められています。
かなりわかりやすい「ニューワールドのピノ」といったスタイルがベースにあり、赤紫系のニュアンスにややジャミーな甘味が感じられる、ある種純粋な飲み物としての端的な美味しさを有する傾向にあります。ただ、同時にドライな収斂要素もかなり強く、後味にかけて口中を強めの渇きと軋みが襲うので、明快な甘味でダレてしまうことがない反面、時間の経過とともにやや飲みにくさを感じる傾向にあります。抜栓日はまだ分かりやすい果実の甘味が主体となっているので、不思議とグラスが進む傾向にありますが、それでも翌日に持ち越すと一気にバランスが崩れ、果実味の減衰とともに収斂要素がかなり目立つようになるので、全体的に華奢な側面が印象として残りやすい傾向にあります(短時間でのテイスティングならば比較的好印象)。
基本的にワインとしての本質を追求するようなタイプというよりも、ソーヴィニヨン・ブランと同様に技術でコントロールして構築したような系譜にあるので(なにげにアルコールも13.5%にうまく抑えている)、品質そのものは一定の水準で安定している反面、飲み手に感動を与えるようなタイプではないので、世間の高い評価に見合うようなポテンシャルを期待していると、やや肩透かしを食らってしまうかもしれません。あくまでもアメリカ市場受けしそうな端的な世界観なので、日本人にはあまり訴求しなさそうな印象でもありますが、それでも決して悪いワインではないので、その特性を理解した上で向き合えば、相応の満足感は得られると思います。
(2021/12)