- Good Quality -
偉大な畑「アルボリーナ」から造られる4種類のワインの内のひとつで、頂上部に植えられたバルベーラで造られるのがこのラリージ。植樹は1948年と古く、アルボリーナの中でも最も良い区画とされ、まさにエリオ・アルターレを代表するワインとなっています。
インクや墨汁を思わせるような濃い液質に、底の方には大量の澱があり泥土のような状態ではありますが、表層は非常に丁寧で滑らか、そして緻密なボディを有した稀有なスタイルのバルベーラに仕上がっていて、その良質な造りもさることながら、アルボリーナの畑がもつポテンシャルの高さを存分に感じることができます。それでも、以前試飲した2009年とは根本的に異なる世界観で、ベースとなっているのはあくまでもバルベーラらしい「酸」。梅紫蘇のような赤紫系の表情を感じる軽快な酸が中心にあり、同じ2011年のマリオ・マレンゴにも感じられたようなボディの軟質さが印象的で、この柔らかい物腰と酸のおかげでハイエンド系のワインに感じられるような圧倒感や堅牢さ、そしてそこから放たれる明確なエネルギーといった要素がほぼなく、いたって現実的な日常プラスアルファに位置するワインのような風貌となっています(とは言えネガティブな印象ではない)。
酸は明確ですが、それでもあまりにも滑らかで素直に飲みやすいこともあり、とても10年熟成させた古いワインのようには感じられず、むしろリリースして2〜3年程度の若いモダンワインといった印象すら受けます(そういう意味ではポテンシャルそのものはかなり高い)。軟質なボディやヨードを感じる甘旨味も、ある種イタリアが誇るハイクオリティ系メルローにも似た資質で、威厳は感じるようなスタイルではない反面、逆に親しみやすさとしては分があるので、2011年というヴィンテージのスタイルを前向きに捉えれば相応の満足感は得られると思います(なので唯一の欠点はかなり高価な価格かも?)。
(2021/11)