- Good Quality -
通常のはつゆきと同じように、仁木に隣接する余市産のケルナー100%で造られていますが、このレイト・ハーヴェストは収穫を11月中旬まで遅らせ、糖度が30度を超えた状態で造る甘口仕立てとなっています。
すっきりとした綺麗な佇まいとその端正さは、ニキヒルズワイナリー共通のスタイルですが、貴腐らしい濃密な甘味に加え、グレープフルーツやシトラスピールなどのニュアンスを仄かに感じる非常に鮮烈な酸が全体を的確に引き締めているのが印象的です。確かにハッキリとした甘味が感じられるのは確かですが、それでもスタンダードな貴腐ワインやアイスワインのような極甘口系のワインとは異なり、あくまでもキレのある酸が主体となり、それを補完するように甘味が支えている傾向にあり、ボディにも一定の骨格が感じられることから、一般的な甘口のワインよりも食中酒としての相性が高そうな印象を受けます(もちろんデザートとの相性も良く非常にバランスが良いのでかなり幅広い場面で楽しめそう)。
純粋に極甘口系のワインが好きな人にも訴求するとは思いますが、普段あまり甘口ワインを飲まないような層にも一定の訴求力を放ちそうな世界観なのが印象的で、食事に糖分を加味する和食に慣れている日本人的感覚からすると、派手さはないもののかなり高いポテンシャルと可能性を秘めているようにも感じられます。
(2021/11)