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山梨県全域の畑から造られるベーシックな甲州。熟成はステンレスタンクとオーク樽で約4ヶ月、生産本数は約11万2千本。2020年は暖冬と長梅雨の影響があったものの、梅雨明け以降は好天に恵まれたため、最終的にはバランスの良い葡萄が収穫できたようです。
非常にニュートラルな性質で、どのような食事でも合わせやすそうな中庸さが印象的です。シトラス系の風味が感じられ、その奥に仄かに梨や白桃のニュアンスがあり、一昔前の甲州とは一味異なる程よいボリューム感が好印象です。グリ系らしい仄苦さも良い塩梅で、少し椀子シャルドネにも似た丸みが感じられますが、それでもキレのあるスタイルなので表情が緩むことはありません。
複雑さやポテンシャルで勝負するタイプではないので、純粋な点数評価としてはあまり期待できませんが、それでも非常に良く出来たワインなのは確かで、その高品位な造りで狙ったターゲットに対してしっかりと訴求する、非常に使い勝手の良い内容に仕上がっているので、特に業務店向けとして力を発揮しそうな印象を受けます。ある意味、日本ワインらしからぬコストパフォーマンスの高さが、最大の武器と言えるかもしれません。
(2021/07)