- Good Quality -
長野県上田市丸子地区の陣場台地で、自社管理畑として2003年にスタートしたのが「椀子ヴィンヤード」。6世紀後半にこの地域一帯が欽明天皇の皇子でもある「椀子皇子」の領地だったという伝説に基づき、椀子の名前が付けられています。また、2019年9月には、椀子ヴィンヤード内の小高い丘の上に「椀子ワイナリー」が誕生していますが、同じヴィンテージのシャルドネとは異なり、このソーヴィニヨン・ブランに関しては山梨県の勝沼ワイナリーで醸造が行われているようです(詳細不明)。
2019年は、肌寒い春の影響で萌芽は遅くなったものの、その後の好天で生育が挽回し、結果として過去最高の収穫量となっています。発酵と熟成にはステンレスタンクが使用され(熟成期間は約4ヶ月間)、生産本数は約6,500本となります。
色調はやや薄めですが、香りや風味は非常に鮮明で、メントールや青リンゴなど、清涼感のあるグリーン系のハーブ風味がストレートに広がる、「これぞまさにソーヴィニヨン・ブラン!」とも言える明快なスタイルに仕上がっています。まさに教科書的な分かりやすいソーヴィニヨン・ブラン像が非常に魅力的で、その鮮烈な表情は、ニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランを彷彿とさせる鮮やかさがありますが、それでもボディはスッキリとタイトで、後味にかけて非常に綺麗に収束していくあたりは、やはり日本ワインらしいエレガントで流麗なスタイルだと言えます。やや余韻が短くアタック重視な傾向にはありますが、それでも品種の特性とテロワールの素性がしっかり手を取り合っている印象で、クオリティも高くしっかりとした満足感が得られるので、椀子ヴィンヤードの特性を知るための1本として、個人的には前向きにお薦めしたいところです。
(2021/07)