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ヴェルジッソンでは最も温暖なクリュと言われる「クレ」の下部に位置するのがこの「ヴェルシェール」。高樹齢の古木から造られていますが、一部の区画では植え替えも進んでいるようです。
アリアンスと比較すると、シトラスの系統はややレモンよりで、果実味の充実感やボディの豊かさなど、構成要素としては一段上な印象を受けます。とはいえ、ベースには類似する固有の苦味があり、相対的には穏やかな傾向にありますが、抜栓翌日以降に持ち越すと、より質実系の要素が強くなるというヴェルシェールのスタイルがあるので(2014年と同じ傾向にあり)、あまり時間を与えすぎると少し飲み手との間に距離感が出てしまうかもしれません。
圧倒的な世界観を披露するような系譜ではないものの(むしろ表情はいたってシンプル)、分かりやすい魅力とポテンシャル系の要素を程よく折衷しているような印象でもあり、価格帯に見合う内容にしっかり仕上がっている印象でもあるので、基本的には安定した満足感が得られると思います。そういう意味では、ライバルとなるのは他の造り手のプイィ・フュイッセではなく、あくまでも同じドメーヌ・バローの他のキュヴェになるのではないでしょうか(バローのアイテムはどれも価格帯が近いので非常に悩ましい)。
(2021/06)