- Good Quality -
メルローで造られる安心院スパークリングのロゼ。今回試飲した2017年ヴィンテージは、3年以上もの瓶熟成を経て、2021年の4月15日にようやくリリースを迎えました。
色調は想像よりもかなり濃く、ややアンバーがかったルビーレッド。風味も非常に複雑かつ個性があり、時間をかけてじっくり丁寧に造られていることが素直に伝わります。見た目の色付けと言う意味合いだけで、端的に赤ワインを少量ブレンドしたロゼとは一線を画す内容で、かなりしっかりとスキンコンタクトしたかのような、渋みや苦味等の果皮由来の要素を色濃く感じる傾向にあります(アルコールも12%という数値以上にしっかり感じる)。赤ワインを飲んでるかのような充足感やタンニンも感じられますが、それでも立ち位置としてはやはりスパークリングで、ボディを形成する土台となる部分には、ベリー系のニュアンスや優しい果実味など、親しみやすい要素も十二分に内包しています。
相対的には、同じ安心院スパークリングのシャルドネと、小公子主体で造られる赤の間を埋めるような世界観でもあり、3種類のスパークリングの中では最も熟成期間が長く価格も高価なので、どちらかと言うと気軽に飲むロゼと言うスタンスではなく、安心院スパークリングの世界観をより深めるための最後の砦といった印象かもしれません。とは言え、高価と言っても、泡の本場でもあるシャンパーニュと比較するとそのコストパフォーマンスは非常に高く、加えて品質自体も十分な水準なので、ヨーロッパの泡とは一味異なる「安心院らしさ(テロワール)」と言う点では、非常に興味深い一本だと言えそうです。
(2021/05)