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通常は標高300m以下の畑には興味を持たないクリス・アルヘイトですが、2013年にこの畑を友人から紹介されたことをきっかけに生まれたキュヴェ。海から4km、標高60m、植樹は1978年というステレンホフの畑。そしてもう一つがカリビブの畑で、海から13km、標高220m、植樹は1988年。どちらの畑も南東向きで花崗岩土壌となります。
アルヘイトらしく、ストレートに魅力が伝わる明瞭な表情なのが印象的で、梨、蜜、グレープフルーツ、桃の風味に、硬質感のあるミネラルと、後味を程良く引き締めてくれる傾向にあります。やはりセミヨンが少量ブレンドされているカルトロジーとは甘みの質とボリューム感に違いがあり、より実直な印象を受けますが、それでも難解なスタイルではなく、むしろマジョリティ向けとも言える分かりやすい美味しさを持っています。
抜栓翌日に持ち越すと、よりポテンシャル系の資質が強くなる傾向にはありますが、それでもストレートに伝わる魅力は健在です。早熟なテロワールなので早摘みしているようですが、それが功を奏している印象でもあり、豊かなボディと適度な果実味を持ちながらも、しっかりとした酸が良好なバランスを生み出しているので、終始心地よい風味が広がります。アルヘイトには数多くのキュヴェが存在していて選ぶのが難しい傾向にありますが、強いて一本のみ選ぶとすれば、個人的には価格とのバランスが一番取れているこのノーティカル・ドーンをお薦めしたいところではあります。
(2021/05)