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「地図調べ」という意味を持つ「カルトロジー」ですが、アルヘイトが手がけるワインは、一部を除き、その多くがテロワールを忠実に描き出すシュナン・ブランの単一品種で構成されていますが、自身がフラッグシップと胸を張るカルトロジーについては、常に10%前後のセミヨンがブレンドされています。ちなみに、今回の2018年ヴィンテージは、シュナン・ブラン90%(スカーフバーグ、パールドバーグ、ボットラリー、フォルス・ベイにある9区画の樹齢35〜60年)にセミヨン10%(フランシュックにある畑で最古の葡萄は1936年に植樹)というブレンド比率になっています。
アタックから鮮烈な刺激が広がり、花火が打ち上がったかのようなパンチある表情がストレートに伝わってきます。ヒリヒリとする辛味に、硬質なミネラル、シトラスと、ポテンシャルを感じる要素で構成されていますが、表情そのものはストレートかつシンプルな傾向にあり、後味にかけて優しい果実の甘みが伝わることもあって、素直な飲みやすさを感じます。コアの充実感は高いものの、フレッシュで瑞々しい表情の方がより印象的なので、どちらかと言うと肩肘張らずに気軽に飲みたい気分でもあります。
翌日に持ち越すと、果実の甘みが先に落ち着くこともあり、相対的なバランス感覚としてやや右肩下がりに感じる傾向にはありますが、それでもポテンシャルは十分で、変わらず自然に飲み進めることができる浸透性は健在なので、最後の一杯まで高い満足感を維持できるのは確かです。総じて、アルヘイトのワインを嗜む最初の一歩として、素直にお薦めできる一本だと言えそうです。
(2021/05)