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ケープ・ポイント・ヴィンヤーズのワインメーカーだった「ダンカン・サヴェージ」が、2011年に立ち上げた自身のワイナリーが「サヴェージ・ワインズ」。設立当初は片手間で造っていましたが、規模の拡大に伴い2016年からは専念。自身の名を冠する2019年のサヴェージ・ホワイトは、ソーヴィニヨン・ブラン64%、セミヨン20%、シュナン・ブラン16%という3品種のブレンドで造られています。全房圧搾し、500リットルの古樽で熟成するのが基本スタイルですが、2019年からは卵型のコンクリートタンクも併用しています(10ヶ月熟成)。
基本的なスタイルはまさにソーヴィニヨン・ブラン。ケープ・ポイントで見事な手腕を発揮していたダンカンの本領発揮とも言えるワインですが、溌剌とした陽的で明瞭な表情は、どこかヴィエディ・ロマンスのドゥット・ウンとも共通する要素を感じます。古い大樽を使った酸化的な自然発酵スタイルとは思えない印象で、むしろ新樽を使用したシャルドネのようなナッツのニュアンスに、爽やかで心地よいグリーンの風味、そして塊感のある濃密な甘みへと続き、最後はヒリヒリとした辛味でボディを引き締めます。爽やかなソーヴィニヨン・ブランの風味がベースにありますが、想像以上に甘みがしっかりしていて、その構成要素と世界観に関しては基本的にサヴェージ・レッドと同様です。ただ、白ワインの場合は提供温度が低めなこともあり、そこまで甘みは気にならない傾向にあることや、翌日に持ち越すことで綺麗にボディに溶け込み、より質実な要素にスポットが当たる傾向にあるなど、全体的な訴求力が一枚上手な印象を受けます。
ソーヴィニヨン・ブランが苦手な層にはあまり向いてはいませんが、それでも濃密な甘みが心地よい口当たりを構築し、なおかつ一切のダレなく後味へと続いていくので、全体像を形作る上での構成要素の充実感、そして基本的造りの良質さについてはしっかり伝わると思います。
(2021/05)