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2011年に竣工した「あじむの丘農園」で栽培された甲州で造られる、限定醸造の白ワインです。農家と醸造家の努力の賜物でもあるワイン醸造を、2本の対になった矢に例えて「諸矢(もろや)」と名付けられています。
ごく僅かに淡く黄緑がかっていますが、甲州らしい無色透明に近い色調で、香り自体は穏やかなものの、瑞々しくフレッシュで、同時にコアには緻密かつ充足感のある葡萄の力がしっかりと感じられます。アルコールが11%と低めなので非常に飲みやすく、優しいシトラス風味のおかげでスルスルと飲み進められるのが特徴でもあります。安心院スパークリングと同様に、思った以上に葡萄そのものの要素がしっかりしている印象で、多くの人が気軽に飲めるスタイルを維持しながらも、葡萄本来の良さもしっかりパッケージにしているという点が非常に好印象です。翌日に持ち越すとやや苦味が先行し、グリっぽいニュアンスが前に出るようになりますが(ピークは抜栓日寄り)、それでも全体像は良好で、日常で楽しみたい甲州としては十分な世界観だと言えます。
(2021/04)