- Very Good Quality -
少量生産を貫き、あくまでも品質とクリュの表現を重視し、農民としてのアイデンティティを堅持する造り手がマリオ・マレンゴ(現オーナーはマリオの息子マルコ)。以前はエリオ・アルターレにブルナーテの区画を貸していましたが、現在は契約終了に伴いマレンゴの元に戻っています。
ラ・モッラを代表する偉大なクリュとされるブルナーテですが、マレンゴが手がけるもう一つのクリュ、ブリッコ・デッレ・ヴィオーレとは明らかに異なる指向性、世界観になっているのが非常に印象的です。ラ・モッラらしいエレガントで流麗な表情が基軸となり、瑞々しさやたおやかさ、そして赤系の資質を感じる優しい果実感が落ち着いた表情を生み出しています。抜栓後にしっかりと時間を取れば、徐々に高アルコール由来の孤高感やコアにある高密度のエネルギーなど、ポテンシャル系の要素も感じられるようになりますが、それでもブリッコ・デッレ・ヴィオーレのようなパンチ力ある指向性とは対極にあるような印象です。
ブリッコ・デッレ・ヴィオーレと比較すると、ワインが持つ純粋な格としてはブルナーテにやや分がある印象ではありますが、それでも酒質が薄めで穏やかな表情になっていることや、どちらかというと伝統生産者のスタイルに近い世界観ということもあり、分かりやすい訴求力という観点からすると、逆にブリッコ・デッレ・ヴィオーレの方に分がありそうな印象だったりもします。いずれにせよ価格帯がより高価という側面もあるので、普段からハイエンド系のバローロを飲み慣れている人向けと言ったところではあります(間口はやや狭目)。
(2020/12)