- Very Good Quality -
少量生産を貫き、あくまでも品質とクリュの表現を重視し、農民としてのアイデンティティを堅持する造り手がマリオ・マレンゴ(現オーナーはマリオの息子マルコ)。
圧倒的な水準で熟し凝縮した、トロミを感じる果実味が非常に印象的ではありますが、表層は流麗で滑らか、そして凛とした資質があり、西側エリアのバローロらしいエレガントで品位を感じる世界観が広がります。こういった基本姿勢は従来のブリッコ・デッレ・ヴィオーレと同様のスタンスですが、2010年ヴィンテージはそこに圧倒的な果実の凝縮感が加味されたようなスタイルになっています。後味にかけて、背筋の張りや緊張感が伝わるヒリヒリとした高アルコール(14%)由来の要素も、品格あるバローロ像の構築に一役買っている印象で、全体的なパッケージングやポテンシャル要素はかなり高いと言えそうです。
全体的に、過去のヴィンテージよりも完成度が高い印象ですが、その反面、親しみやすさや分かりやすい訴求力に関してはやや控えめな印象で、短時間でグラス一杯飲むような楽しみ方ではなく、日をまたいでじっくり時間をかけて向き合うような楽しみ方の方が、より高い満足感が得られる傾向にあります。それでも難解な側面を抑え、出来る限り間口を広げようとするマレンゴらしい切り口も十分感じられるので、今まで以上にお薦めしたくなる高品質バローロだと言えます。
(2020/12)