- Very Good Quality -
優れたヴィンテージのみ造られるバルバレスコで、2006年に亡くなられたブルーノの母「マリア・アデライデ」の名を冠した特別キュヴェとなります。ブルーノ自身が見極める最高区画の葡萄のみが使用され、非常に限定された流通量の希少なアイテムでもあります。
決して他を圧倒するかのような偉大な世界観というわけではなく、特別な主張や個性を明確に放つようなスタイルでもないので、多くのアイテムと同列で比較するとやや埋もれがちではありますが、それでも終始一貫して「非常に丁寧で綺麗な造り」が展開されるというのが印象的で、まさにブルーノ・ロッカらしい世界観が一点の曇りなく広がって行きます(基本姿勢はスタンダードのバルバレスコと同質)。
落ち着いたビターチョコのニュアンス、そして旨味を伴う熟度の高い果実味に、堅牢性の高い屈強なタンニン、こういった要素を内包しているものの、それらが表立って強く主張するわけではなく、あくまでも秘めたる物として捉え、表層的にはエレガントかつ滑らかに広がる美しいバルバレスコ像が広がります。屈強なタンニンを前面に打ち出す傾向にあるバローロとは根本から異なる指向性なのが印象的で、やはり女王と呼ばれるバルバレスコらしい立ち振る舞いが、終始ブレずに展開されることに魅力を感じます。
現時点で10年が経過しているものの、まだまだ輪郭は鮮明ではっきりとした存在感があり、抜栓後にしっかりと時間を与えることで徐々にその魅力が開花し尻上がりに良くなっていく傾向にあります。おそらく、更なる長期熟成を経ても芯がぶれることなく美しく熟成していくことが予想されるので、今飲んで良し、逆に忘れるぐらい熟成させても良しと、その本質は不変で一定水準のクオリティを常にキープしてくれそうな印象を受けます。純粋なコストパフォーマンスとしては分が悪い傾向には有りますが、それでも希少な特別キュヴェということもあるので、ブルーノ・ロッカという造り手の世界観が好きな人であれば、それほど価格に影響されることなく相応の満足感が得られると思います。
ちなみに、今回の2009年ヴィンテージは、2015年のヴェロネッリで青星3つとなる「スーペルトレステッレ」を獲得しています。
(2019/12)