- Good Quality -
泡として有名なシャンパーニュの地にありながら、スティルワインの「コトー・シャンプノワ」の優れた造り手として名高いオリヴィエ・オリオ。シャンパーニュについても、ベースとなるワインの良質さが印象的ですが、そういった指向性がよりストレートに結実したのが、このコトー・シャンプノワと言えそうです。
涼しい産地なのが想像できる引き締まった細身の姿に、滋味深く浸透する不思議なコアを内包しています。仄かに酢酸が感じられ、純粋な果実味はかなり控えめということもあって、分かりやすいモダンなワインに慣れた人にとっては果実感の乏しさが気になってしまうかも知れません。確かに、その世界観は飲み手を選ぶ傾向にはありますが、それでも体内に自然と染み入ってくる不思議な浸透力、その魅力が発する訴求性はかなり高く、しっかりと評価すべき良質な世界観が構築されているのは確かな事実です。
今回は10年間の熟成を経てからの試飲ということもあり、2008年ヴィンテージを試飲した時よりも優しく親しみやすい表情を持っている印象です。しかし、その本質には大きな違いはなく、タイトに引き締まった硬質感とコアの緻密さ、そして滋味深さは健在で、薄い酒質の中に込められたエネルギーはまだまだ豊富なので、今後も10年以上の熟成に耐える良質な世界観に仕上がっていると言えます(生産本数は僅か2,584本+マグナム30本のみ)。
(2019/01)